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花帰葬 |
| 08.3.3 |
| Hasta Manana |
なんなんだ…この状況は…。 政務時間の終了を告げる鐘が鳴り、残業を始める前に一息を着いていた銀朱の元に、第三兵団の部下である 雨槻と彼草がやって来た。 火急の用件と告げられ、何事かと思い、二人に先導されるまま辿り着いた先は、兵達の詰所で。 だが、開かれた扉の向こうは見慣れた詰所とは全く異なっていて。 部屋中に飾られた季節の花々 普段はそのまま置いている木のテーブルには、白いテーブルクロスとケーキをメインとしたパーティ料理 そして 部屋の中央に飾られた手書きの垂れ幕には 『HappyBirthday隊長』 の文字が記されていた。 今日という日の主役の登場に、兵達の歓声が上がる。 手を叩き、まだ状況を把握できずに呆然と立ち尽くす銀朱に向けて、彼らは声を揃えて告げた。 「お誕生日、おめでとうございます、隊長!!」 「お前達…これは…」 銀朱を我に返したのは、聞きなれた声だった。 「愛されてるね、隊長」 視線を向けると、不機嫌そうに顔で壁にもたれている花白が、ジト目で銀朱を見ている。 「………これはお前の差し金か?」 よもやと思いながら念のためそう問いかけると、予想通りの答えが返ってきた。 「はぁ〜?そんな訳無いじゃん。今までだって、僕がわざわざお前の誕生日なんかを祝ってやった事なんて無かっただろ」 「念のためだ」 はっきり否定され、胸中に冷たい風が吹き抜けたが、それには気付かなかった事にして、おとがいに手をあて 銀朱は考え込む。 そんな銀朱に、はぁと溜息をついて、花白は言った。 「まぁ、あんたの誕生日の事を言ったのは僕なんだけどね。話題のついでだったんだけど、まさかこんな事になるなんて… ほんと面倒な事に巻き込まれたよ」 そうぶつぶつと不満を露わにする花白の、更に続けられた言葉に銀朱はギョッとした。 そして花白の不機嫌の理由に得心する。 「それに玄冬に料理まで作らせるし」 「俺は結構楽しかったぞ」 声を掛けられそちらをみると、手に料理の乗ったトレイを持った玄冬がそこに居た。 「こういう大人数用の料理を作った事が無かったからな。なかなか奥が深い」 そして、トレイを銀朱に差し出す。 色とりどりの料理が並べられ、そのまま食べれるように串を刺してある。 食べてみろ…という意思表示は言葉を聞かなくても伝わった。 かつては敵として追っていた相手の手料理に銀朱は戸惑ったが、躊躇う銀朱の脇から花白が手を出して、 肉団子を一つひょいと口に入れる。 「お…おい…」 「さっすが玄冬〜。おいしい」 口の中の物を嚥下した花白は、満面の笑顔を浮かべて玄冬を見上げる。 玄冬は満足そうに言った。 「対多人数というのは、それぞれの好みの傾向もあって、なかなか難しいものだな。手が足りないというので 少し手伝っただけだが、勉強になった」 「ほんと、銀朱の為なんかに君の腕を奮わせるなんて、もったいないよ」 思わず銀朱は眉間を指で押さえた。 この城の警備は一体どうなっているんだ、部外者を城の深部に入れて…とか、そもそもどうして玄冬が手伝わされる羽目になったんだ…とか、 頭痛の種は数あったが、もはや今更銀朱がどうこう言っても後の祭り。 一人苦悩する銀朱を一瞥すると、花白はもはや銀朱には興味を無くしたのか、玄冬の腕を引いて料理の山に向かった。 去り際に、ぼそりと一言言い捨てて。 「まぁ、こいつらには感謝しときなよ。休憩時間や交代の合間に色々手配してここまで準備したんだからさ」 その言葉にはっと銀朱は気付いた。 そうだ、ついうっかり状況把握に夢中になってしまったが、彼らがこれほどまで用意を整えたのは、ひとえに銀朱の為なのだ。 胸に温かいものがこみ上げる。 その時今だ入り口付近に立ち尽くしていた銀朱の背後から、賑やかな声が聞こえてきた。 「あー何だ、もー始まってんの?」 「ずるーい!僕もごちそう!!」 「心配するな、はなしろ。まだ沢山ある」 振り返ると、救世主とこはな、こくろが揃ってやって来たところだった。 「遅いですよ、救世主様。こっちはちゃんと隊長が残業を始める前に首尾良く連れ出したんですから」 「だって、チビ共が見つかんなくてさ」 彼草とそんな言い合いをしていた救世主が、銀朱に気付いて愉快そうに声を掛ける。 「ん?今日の主役がこーんなトコに突っ立って何してんの?タイチョー。………もしかしてカンドー中とか?」 ズバリと確信を突いた救世主の言葉に、銀朱は言葉に詰まった。 赤くなるその顔が、言葉にしなくても肯定の意を伝えている。 救世主と彼草はその銀朱の反応に、してやったりと笑みを交し合う。 そこに新たな来訪者がやって来た。 「やれやれ、主役の挨拶には間に合ったようですね」 「文官…お前もか」 「おや、隊長」 文官は銀朱に気付くと、深々と頭を下げた。 「本日はお招きに預かりまして。隊長、お誕生日おめでとうございます。後ほど、白梟様もおいでになるそうですよ。 それから、良くいらっしゃるあの黒い方も」 「白梟殿と…黒の鳥までもか…」 「みんな、隊長のお誕生日をお祝いしたいんですよ」 驚愕に言葉を失っていた銀朱に、雨槻が声を掛ける。 「どうぞ、中央においで下さい。みんな隊長にお祝いが言いたくてウズウズしてますから」 「あ…ああ…」 そう言って雨槻の後を追うように歩を進める。 その間銀朱は必死に頭を巡らせていた。 どうしたらこの嬉しい気持ちを、余す事無く伝える事が出来るのか、その言葉を必死に捜して――― |
K家姉 妄想日時:’08.3.2 妄想場所:自室 個人的には不本意な出来なので、来年の誕生日にはもっとステキなSSを隊長に贈りたいです。 これから一年、隊長をどう喜ばせてやろうか考えっぱなし(笑)。 基本的に仕事に追われていると、日付はわかっていてもなかなかプライベートな行事と結びつかなかったりします。 ってか、それは今年の自分の誕生日の事か(笑)。 隊長もそうじゃないかなぁ…え?私がボケてるだけ? ゴメンね、銀朱…3月入るまでお誕生日の事を思いつかなかったヨ…orz あと、実家から通ってるなら、真っ先にご家族がお祝いしていた事と思います。 タイトル補足。スペインの伝統的な誕生日の歌だそうです。読み方は「アスタマニャーナ」。 Mananaの最初の「n」はホントはスペルが違います。上に「~」がつく。HP上で出せないから断念したケド。 歌詞は次の通りです…ホント蛇足ですね。でも銀朱に捧ぐ…灰名様に歌って欲しいv石田だけど(笑)。 QUE LINDA ESTA LA MANANA EN QUE VENGO A SALUDARTE とても素敵な朝に、キミにあいさつしに来たよ。 VENIMOS TODOS CON GUSTO Y PLACER A FELICITARTE みんな心から喜んで、キミのお祝いに来たんだ。 EL DIA EN QUE TU NACISTE NACIERON TODAS LAS FLORES キミが生まれた日に、すべての花は咲き、 EN LA PILA DEL BAUTIZO CANTARON LOS RUISENORES ナイチンゲールが洗礼盤で歌った。 YA VIENE AMANECIENDO YA LA LUZ DEL DIA NOS DIO そろそろ夜が明ける。日の光が差す。 LEVANTATE DE MANANA MIRA QUE YA AMANECIO 起きて、見てごらん、もう夜が明けた。 |