花帰葬
         
08.3.25      
 僕が望むもの

(僕はあの人がニガテだ)
桜色に包まれた彩の回廊を花白は一人、歩く。

(キレイな、キレイなあの人)
花白の脳裏に桜舞う中に笑う白梟の姿が浮かぶ。

(あの人は僕が救世主だから必要とするだけ。僕個人の事はどうでもいいんだ)
今日の花白はいつになく不機嫌だった。
キレイに咲く桜さえも憎く感じてしまう。

(あの人はキレイな顔で笑って「さぁ花白殺しなさい」って言うんだ。 …残酷な人。僕が欲しい言葉はそんなんじゃないのに…)
「花白…」
「え?」
突然声を掛けられて振り向く。
そこには舞い降る桜の中に佇むキレイな人。

「白梟…」
「………。いらっしゃい、お茶にしましょう」
「…はい」
(笑っても…くれないんだ。ねぇ…白梟、僕は今日…欲しい言葉があるんだ)
俯き、拳を強く握って白梟の後を付いて歩く。

「…どうしたのです?花白、早くお座りなさい」
「え…あ……だって…どうして?」
白梟の部屋に入った花白は言葉を失った。
目の前の光景に身動きが取れなくなってしまった。
白梟のテーブルの上にはキレイに飾り付けられた花とアフタヌーンティーセット。そして…バースデーケーキが置かれていた。

「今日は…あなたの誕生日ではないですか、花白」
「白梟…覚えて…いたの?」
「何を言っているのです?当然でしょう…。さぁ早くお座りなさい花白。お茶が冷めてしまいます」
「はい…っ」
言われる通りに椅子に座る。

「あなたが生まれた日も桜が満開で…それは綺麗に咲いていたのですよ。 ですから…桜が咲き始めるとあなたの誕生日を思い出すのです」
白梟はにこりと微笑んだ。
(やっぱり…この人はニガテだ…)
花白は瞳に熱いものが込み上げて、零れそうになるのを堪えていた。

「あのね…白梟…僕……僕…欲しいものがあるんだ…!」
「え?」

顔を真っ赤にしながら白梟に耳打ちする。
「えぇ、いいですよ」
くすくすと笑いながら白梟は答える。
そして花白が今日一番欲しかったものを贈る。


「誕生日おめでとう、花白」




K家妹
妄想日時:’08.3.9
妄想場所:自室

黒鷹「白梟は不器用なんだ。本当はちびっ子の事を想っているのに上手く表現出来ない。
誕生日を内緒で祝うなんて…あの人にしては頑張った方さ。
だが、声をかける時はもっと笑った方がいいと私は思うよ」
と陰から黒鷹が言ってそうな話になりました。
本当は黒鷹を出す予定だったのにカットしてしまったため、コメントに登場して頂きました(笑)