花帰葬
         
08.4.26      
 present for you〜銀朱編〜

いつもと変わらない平穏な今日。
しかし、ある者達にとっては特別な日━━━

銀朱は面白くなかった。
相変わらず執務に追われている。他人の事に関わっている余裕などない。
だがしかし、今日と言う日が来たことが面白くない。
「全く…何が誕生日だ。…くだらん」
ため息をつきながら積み上げられた書類の処理をしていた。
「相手はあの『玄冬』なのだぞ。いくら世界に影響を及ぼす存在でなくなったとしてもだ。なのに誕生日だと騒いでいる」
ブツブツと文句を言いながらも手を止める事はない。
「俺は断じて祝わんぞ!」
ダンっとペンを置き机を強く叩いて勢いで立ち上がる。
「…だが、何故貴様はここに居座っているんだ!」
銀朱が顔を上げるとそこには無表情の長身が立っていた。
そう。そんな訳で銀朱は面白くなかったのだ。

「………」
銀朱の問いに答える訳でもなくただその場に立ち、真っ直ぐ銀朱を見ていた。

コンコンと執務室のドアを叩く音がした。
「入れ」
銀朱がそう言うと書類を大量に抱えた文官が入ってきた。
「おや?…あなたは確か…。いらしてたんですか」
「あぁ」
執務室に入った瞬間玄冬に気付きにこやかに挨拶をした。
「今日はお誕生日だそうでおめでとうございます。…はい、隊長追加の書類です」
ドサッという音と共に机上にまた山が出来上がる。
銀朱はその山を見ながらまた、はぁ…とため息をつく。
「こういう訳で俺は貴様に付き合っている暇はない!さっさとどこかへ消えろ!」
「あれ?そんな事言ってよろしいのですか?」
銀朱の言葉に、執務室を出ようとした文官が振り返り言う。
「お前…!」
しまった!とばかりに表情が変わる。
「知っていますよ。隊長はこの方のために漬け物の漬け方を書にしていましたよね?今日お渡しになるつもりだったのではないですか?」
「…馬鹿者…」
頭を抱える銀朱。
そんな銀朱を見て見ぬ振りをし、文官は失礼しますと一礼し執務室を出た。
「隊長、あんた中々良いヤツだな」
ハァと玄冬が来てから三回目のため息をつくと、机の中からきれいに束ねられた文書を出した。

「別に…貴様のためにしたことではない。誕生日だからと言う訳ではないからな。勘違いするなよ!?」
「これは…素晴らしい…」
「漬けたら持って来い。…味見してやる」
「本当か!?それは有り難い」
「…フン」
嬉しそうな玄冬の顔を見て照れる。
「これ…全部あんたが書いてくれたのか…俺のために…」
「だから貴様のためでは…!これは…」
「きれいな字だ…。こんなに纏めるのは時間が掛かっただろう?…すまない。感謝する。あんたがいい人で良かった…」
柔らかい笑顔で礼を言われると銀朱は悪い気がしなかった。




K家妹
妄想日時:’08.4.25
妄想場所:自室

ぶっちゃけ「よっしゃぁ!久々のG氏ネタだぁ!」と張り切りました(笑)
書き始めたら中々止まらないのでビックリです。
一応+DISK設定で読めるように玄冬のアホ度軽減しました!