花帰葬
         
08.4.26      
 present for you〜見守る者編〜

いつもと変わらない平穏な今日。
しかし、ある者達にとっては特別な日━━━

「何だか今日は色々あって疲れた…」
玄冬はベッドに入り一日を終えようとした。
酒を飲み過ぎて潰れた黒鷹を担いで部屋に連れて行ったせいもあり、ベッドに入るとすぐ眠りに落ちた。


夢の中で玄冬は満開の桜の中にいた。
そして赤ん坊の泣く声が聞こえて、そちらに向かって歩いていく。

「あ、彩紅?これは一体何で泣いてるんだい?」
男の腕の中で赤ん坊が泣いていた。子育ての経験が無いのだろう。突然泣き出され戸惑っている。
そんな男から優しく赤ん坊を受け取り、抱く綺麗な女。
「太陽の光が目に眩しかったのよ。だからこうやって日光が目に入らないようにしてあげるの」
女の腕に抱かれた赤ん坊は泣くことを止め、すやすやと眠り始めた。

「あれは一体誰なんだ…。何故だかわからないが懐かしい感じがする…」
玄冬はその親子から目が離せなかった。

「彩紅…この子はどんな子に育つんだろうね?」
「そうね…。もしかしたら…ツラい運命が待っているかもしれない。それでも自分で未来を選び取れる子になって欲しいわ…」
「彩紅?」
「何でもないわ。あなたに似て背が高くて草花を愛する子になるかもしれないわね」
そう言うとクスクスと笑った。
そして…女と玄冬の目が合った。
その瞬間、女の姿を隠すように桜が一斉に舞った。
一瞬眩しい感じがして目を閉じる。
次に目を開くと男も赤ん坊も桜並木もなく、ただ暗い世界に女が一人玄冬を見て真っ直ぐ立っていた。

「あ…」
何かを喋ろうとするが何を話して良いのかわからず戸惑う玄冬。
女は静かに微笑んだ。
「あなたの傍にいるわ…」
突然女が話始めた。
「いつもあなたを見守っているから…。あなたが自分で道を選び取ってくれて嬉しいわ」
何故か懐かしい瞳。懐かしい声。
「信じて…あなたは望まれて生まれて来たことを…。私たち…あなたが生まれて本当に幸せだったわ…」
玄冬には目の前の相手が誰なのかわかった気がした。
「もしかして…」
それを言おうとした瞬間、女は遠ざかっていった。


「待ってくれ!待ってくれ…っ!」
その叫び声で玄冬は目を覚ました。
朝の光がカーテンの隙間から覗いていた。
「…夢…か…」
ハァとため息をついて、見た夢を振り返ろうとするが、何故か全く思い出せなかった。
「何だったんだ…一体。寝言を言う位の夢だった筈なんだが…」
思い出せない事に関してはスッキリしなかったが、何故か玄冬の心は満たされていた。




「なかなか興味深いものだな…人との繋がりと言うものは…」
玄冬の姿を管理者の塔から視ている一つの影。
彼もまた興味深いものが見れて満足していた。
「誕生日か…くだらぬ。…だが…悪くはない…」
その影は一部始終を見届けると消えていった。




「玄冬…私たちの子。誕生日おめでとう…」




K家妹
妄想日時:’08.4.26
妄想場所:自室

どうしても両親と玄冬をどこかで一度絡ませたかったんです。
折角ここまで色んなキャラが出てきて祝ったのだから主も出したくて最後無理矢理出しちゃいました。
父上の存在薄すぎ(笑)
父上祝ってねぇ(笑)
K家妹は彩紅さんが大好きです。