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花帰葬 |
| 08.2.16 |
| 昔話をしよう! |
むかーし昔、ある所に一組の夫婦が住んでいました。 その夫婦に子供が生まれた日、突如魔女(?)が現れてこう言いました。 「その子は救世主としてこの世界に花を降らせる使命を持っています。…その子を私に下さいな」 夫婦は驚きと共に半信半疑。 すると魔女(?)はそんな二人を見てこう言いました。 「勿論タダでとはいいません。…幾ら欲しいのです?」 世界の役に立つならば…と喜んで夫婦は生まれた我が子をその魔女(?)に託しました。 魔女(?)は世界に花を降らせる者と言う意味を込めて、その子供に「花白」と名前を付けました。 そして花白が完璧な自分好みの救世主となる様に出入口は窓しかないという搭に綴じ込めました。 花白はすくすくと成長していきました。 そして花白の髪は、まるでどこかの研究者の如く長く伸びました。 魔女(?)は搭に入りたい時には搭の下からこう言うのです。 「花白、あなたの髪を下げて下さい」 そうすると「…っ!!!…わ…わかりました」と言って桜色の綺麗な髪を下げました。 すると魔女(?)はその髪を梯子にして搭の中へと入るのでした。 「花白、いい子にしていましたか?」 「転移装置使えばいいのに…」 「何か?」 「…何でもありません…」 完璧な救世主として自分の言うことをよく聞き、使命感を強く持つ子に育てようとしたのですが、 どこをどう間違えたかひねくれた子供に育ってしまいました。 「まぁいいでしょう…。また様子を見に来ます。抜け出したりサボったりせず、 きちんと勉学に勤しむのですよ」 「一体いつになったら…僕をここから出してくれるのですか?」 「時が来たら必ず…」 「…っ」 「安心なさい。もうすぐです…。決して自分の使命を忘れぬ様…」 それだけ言うと何処へともなく消えて行きました。 …降りるのはさすがに怖いらしい。 「今のは…」 実はそのやり取りを見ていた男が一人。 自分の暮らす山小屋から山菜を採りに来て、偶然その一部始終を見てしまったのです。 「今のは…白の鳥。そして上にいるのは…救世主…。間違いない…俺のDNAがそう叫んでいる」 彼こそが世界を破滅に導く使命を持つ者…花白と対の使命を持つ「玄冬」と呼ばれる存在の者なのでした。 彼は世界を破滅させる事を使命と与えられつつ、自分を殺せる唯一の存在である救世主に出会い、 殺される事を待ち望んでいたのです。 見つけてしまったからには一直線。後には引けません。 搭の下に立つと入り口を探し始めました。 しかし入り口は何処にもありません。 「さっきの言葉か…」 玄冬は必死に頭を使い考えました。 「花白!お前の髪を下げてくれ!」 そう叫ぶと上から桜色の束ねられた髪が下りて来ました。 玄冬はそれを梯子代わりに上って行きました。 「う…うわぁっ!!!!!」 玄冬が辿り着くと花白は驚き、後ろに大きく転んでしまいました。 白梟や白梟が送ってくる家庭教師以外の人を見たのは初めてだったし、彼もまた見た瞬間に男が 「玄冬」であると悟ったのです。 驚く花白に玄冬はこう持ちかけました。 「腹…減ってないか?」 それからしばらくの間、二人は楽しい時を過ごしました。 搭の調理場で材料を使い、玄冬の作る美味しい料理に舌鼓を打ち、窓にやってくる鳥達に餌をあげたり… 色んな話をしたり…。 花白にとって、生まれて初めて感じた充実感でした。 彼が玄冬だなんて、もうどうでもいいとさえ感じていました。 しかし、時がくると玄冬がこう言いました。 「花白…いや、救世主…俺を殺してくれ…」 「…っ!!!!キミ…気付いて…?」 「お前ももうわかっているだろう?この雪はもう止むことがない。世界を埋め尽くすまで降り続ける」 「だから…だから僕に殺せって言うの?キミが世界を殺せない様に僕もキミを殺せない」 「花白!!!…だが…俺はもう嫌なんだ!!!こうまでして俺は生きたくはない」 「なら…僕と一緒に逃げよう…?どこか遠くに行けばキミが死ななくてもいい方法があるかもしれないっ!!!!!」 花白は目に涙を沢山浮かべて玄冬に抱き着いて逃げよう…と繰り返しました。 「だが…俺はお前の髪を使って降りればいいが…お前はどうする?お前はどうやって降りるつもりだ?」 「…それは…」 花白が答えに詰まったその時です。 「その通りですよ、花白…」 何処からともなく聞こえてくる声。そして姿を現す魔女(?)…。 「久しいですね、花白。…そして玄冬よ…」 「白梟…何で!?」 「気付いていないと思っていたのですか?私の張った結界に黒の者が近付いたと言うのに…」 魔女(?)…もとい、白梟は少し得意げに言いました。 「これは好機会だと…わざと結界を解き、その者を中に入れたのです。…よくやりましたね、花白。 さぁ…一思いにやっておしまいなさい」 そう言うと白梟は玄冬を窓際に追い詰めました。 「花白…もう…いいんだ」 玄冬の言葉を聞いた瞬間、花白は救世主の剣を抜き真っ直ぐに向かっていきました。 そう…白梟に。 「何を!?」 驚いた白梟は避けようとして玄冬を窓から付き落としてしまいました。 窓から真っ逆さまに落ちていく玄冬。 その姿を見て、花白は白梟を刺すのを止めて窓の柵に手をかけました。 「玄冬っ!!!!!!!」 「は…花白!!!!!」 そして花白は窓から飛び降り、男らしく両足でしっかり着地すると、気を失っている玄冬を お姫様抱っこして連れ去りました。 「………馬鹿馬鹿しい」 白梟は急に馬鹿らしくなり城に帰りました。 そして、誰もいない大雪原で玄冬は目を覚ましました。 「ここ…は…?俺は…どうしてここに…?覚えていない…何も…」 「気分はどう?」 「お前は…誰だ?」 「………もしかしてって思ったけど、本当に全部忘れちゃったんだね…」 「???」 「…いいよ。キミが僕を…全てを忘れてしまっても…それでも僕はキミと一緒にいたいから…」 「俺は…一体…」 「僕と一緒に行こう、玄冬。僕はキミを知ってる。僕と一緒にいたら思い出せるよ、きっと」 花白は玄冬に微笑みかけました。 「お前の…名は…?」 「…例えば、空から降る白いもの…とか」 「雪?」 「…のもう一つの言い方」 「…花…?」 「やっぱりキミはキミだね」 玄冬の言葉に安心して無防備に花白は笑いました。 そして… 「花白…僕の…名前」 二人の旅がここから新たに始まったのです。 「それ…本当にあった話なのか?」 話終えた黒鷹にこくろは尋ねた。 「さぁ…どうだろうね?もしかしたらあったかもしれない、一つの話さ」 |
K家妹 妄想日時:’08.2.10 妄想場所:自室 童話パロですが…何の話のパロかわかりますか?(笑) 意外と違和感なくサックリ読める一本で、悩まず一気に書き上げる事が出来ました! |