花帰葬
花白×玄冬        
08.10.13         
 キミと甘いお菓子と(10月)

群の山奥。
こんな所に人が住む家がある事を知るのは、ここに住んでいる者と数人のみ。
仮に知っていたとして、近付こうと思うものもそう居まい。

そんな山小屋に住む玄冬は誰かの近付く気配を感じていた。
人数はそう多くはない、そう多分一人。
恐らくは彼が「玄冬」であるが故に解る気配なのかもしれない。

足跡は確実にこちらに近付いている。それも、かなりの勢いで。
「ふぅ…。来たか」
そう溜息をつきながらソレが現れる時を、ただ静かに待っていた。
そして玄冬がこの小屋の中に入る為の唯一の入り口である扉を見た、その瞬間…

バッターーンっっ!!!!!

勢いよくドアが開いた。

「trick or Treat!!!」
元気の良い掛け声と共に一人の少年が中に入って来た。
予告もなしに入って来て、さぞ驚いているだろうと期待して顔を見るが、玄冬は表情一つ変える事はない。
「あれ?」
拍子抜けしてしまう。
「来る頃だと思っていたぞ、花白」
「え…っ」
逆に予想しえぬ言葉を返され花白は顔を赤くして驚いた。

「それで…今日は何の用だ?」
言いながら玄冬は席を立ち、お茶を入れる準備を始める。
「え…あ、うん。ハロウィンだからさ」
「ハロウィン?」
「あれ…もしかして玄冬、ハロウィン知らない?」
「いや…ハロウィンは知っているが…」
玄冬は二つのティーカップにお茶を入れ、テーブルに置いた。

「じゃあ何も問題ないじゃない」
差し出されたティーカップを受け取り、お茶を一口飲む。
「ハロウィンで来るなら来ると前持って言わないと…普通ハロウィン用のお菓子を用意しないだろう」
「あ、そっか」
第一、ハロウィンを知っていてもそれを経験したことはない。
誰も玄冬には近付かないから。

「ごめん…玄冬…」
ちょっと悪いことしちゃったかな?と思う花白の前に玄冬が何かを差し出した。
「え…?」
「何だ…いらないのか?」
そこにはハロウィン用のお菓子があった。
「い…要る!!!!!!」
慌てて玄冬の手からそのお菓子を受け取った。

「玄冬…何で?」
答えの代わりにポンポンと頭を叩いた。
或いは毎年誰かが来るのを待ち、こうしてお菓子を買っていたのかもしれない。

「普通買ってない筈の物を買って置くなんて、キミって普通じゃないね」
「お前もな…」

思わず二人で吹き出してしまった。
「やっぱり…」
突然話し始めた花白は玄冬の顔を真っ直ぐ覗き見た。

「やっぱり…お菓子だけじゃ物足りないから、悪戯もしちゃお…」
言いながら背伸びをして玄冬の唇に口付けをした。
何となくそんな気がした玄冬は、その瞬間に目を閉じた。

これは彼が「玄冬」で花白が「救世主」だから解った訳ではない。

「困ったハロウィンのオバケもいたものだ」
「そう?世界に一人くらいお菓子も悪戯も両方ねだるオバケが居てもいいじゃない」

抵抗することもなく花白の「悪戯」を受け入れた。




K家妹
妄想日時:’08.2.6
妄想場所:自室にて

タイトルの「甘いお菓子」と言うのは「甘やかし」と実は掛けています(笑)
玄冬!色んな意味でキミは甘いよ!…甘いものは…花白の大好物なんだぞっ!
食われちまえ!←ヤケ