花帰葬
花白×玄冬        
08.9.22         
 満月の夜に(9月)

「ねぇ…玄冬。何やってるの?」
山小屋の中、遊びに来た花白に構う事もなく、玄冬はパタパタとせわしなく動いている。

「何って…準備だが」
「準備って何の?今日って何かあったっけ?」
「何だ。お前知らないのか?…まぁいい。夜になれば解る」
「ふぅん…」

何だかとてもつまらない。
何の日か解らないのも面白くないが、折角遊びに来たのに玄冬に構って貰えないのが何より面白くない。

「花白、夕飯食って行くだろ?今夜は美味いものを作るから食って行け」
「え…いいの?」
「あぁ」
今の誘いは嬉しかった。
少しだけ夜が楽しみに感じた。
「ねぇ、玄冬。バカトリの姿が見えないんだけど…どこに行ったの?」
「今夜は鳥達の集会があるって出掛けたぞ」
「何それ?変なの。…まぁ別にいいけど」

何だ…楽しくなってきたぞ。今夜は玄冬と二人きりか。
そう思うと花白の不機嫌な気持ちが一気に吹き飛んだ。

「ね、玄冬。僕も何か手伝おうか」
「あぁ…それなら…」
珍しく積極的に手伝いを申し出た。



そして辺りが闇に包まれる時刻…。
「最近日が暮れるのが早くなったな」
「そう?キミはこんな山奥で過ごしてるからそう感じるのかもしれないけど。…でも今のは年寄りくさいよ?」
「…お前なぁ」
「ゴメン、ゴメン」
口先ばかりの謝罪をして花白は笑った。

「さぁ準備が出来た」
「え?何の…」
「何だ、まだわかってないのか」
少し呆れ口調の玄冬に花白はまた面白くないと思った。

「何?僕が鈍感だって言いたい訳?」
「いいからこっちへこい。そうすれば解るから」
一言不満をぶつけてやろうと思ったが、玄冬に遮られた。
そして玄冬が手招きする隣へと移動すると、玄冬が無言で指を指した。
「うわぁ…」
指された方向を見ると一瞬で花白の不機嫌さが吹き飛んだ。
そこには、大きくて丸く淡い光を放つ月。

「そっかぁ。今日は中秋の名月なんだぁ…」
「あぁ…」

思わず見とれてしまうような綺麗な月だった。

「すっかり忘れてたよ」
「団子も沢山作ったし、栗も煮た。栗ご飯も沢山作ったからいっぱい食えよ」
そう言うと花白の頭をポンポンと叩いた。
「キミって律儀だね」
「何がだ」
「中秋の名月覚えていて、お供えまで作っちゃってさ」
「悪いか」
「悪くはないけど…やっぱり少し年寄りくさいよ?」
むっとする玄冬をよそ目に花白は笑った。

「いいか?中秋の名月と言うのにはちゃんと意味があるんだぞ」
「え?」
「満月が1番綺麗に澄んで見えるんだ」
ムキになり力説する玄冬。
一生懸命な玄冬を見て花白も笑うのをやめた。
「それに今年は月からの使者がきたからな」
「し…使者ぁ?ドコに?」「いるだろ、ココに」
そうして花白の頭をくしゃっと撫でた。

「うわっ!…何だよそれ!僕の事月にいるウサギだとでも言いたいわけ?」
全力で抗議した。
「そっくりだろ」
「もーっ!!」

その時、風が吹き明かりが消えた。
そして静かな時間が流れた。

「本当に今日の月は綺麗だね。何で中秋の名月なんてものが続いてるかよくわかったよ」
花白が話始める。
「月の光がこんなに明るいんだもん…。明かりがなくたってちゃんと玄冬が見える」
「花白…」
「綺麗だよ、月の光に包まれたキミがとても」
「はなし…」
全て言う前に口を塞がれた。
駄目だ…流されるな。そう思う玄冬は花白との距離を取ろうとした。

「明かり消してって言っても今日は無理だよ。こんなに綺麗な月に光るなって残酷なこと言えないからね」
そう微笑む花白は玄冬の小さな抵抗も振り払ってゆっくりと押し倒した。


月の明かりだけを頼りに、花白は玄冬を導いていった。




K家妹
妄想日時:’08.2.5
妄想場所:自室にて

うーん…ムーディーに行こうと思ったのにどうしてもラストがエロ突入してしまう(笑)
続きはご想像にお任せします。
月には兎がいてね…兎=花白さんってネタを書きたかっただけです(笑)
時間があったら他カプや他キャラのお月見も書きたいです。