花帰葬
         
08.4.12        
 それでも私は食ってない

「お前を逮捕する」
「ノーーーンっ!!!!!!」
魔王仕様で突然やってきた玄冬は問答無用で黒鷹を捕まえると、縄でグルグル巻きにしてつれていった。

彩の城のとある執務室。
「だ〜から何故貴様達は何かと言うと俺の執務室に来るんだっ!ここは執務室なんだぞ!!」
「………まぁ落ち着け、隊長。血圧が上がるぞ」
「誰のせいだ馬鹿者ーーっ!!!!!!!」
いきなり叫んだために銀朱を軽いめまいが襲う。
いわゆる酸欠状態。

「それより玄冬〜!これは何だ!?一体私が何をしたと言うんだっ!」
「何をした……だと?」
「玄冬?」
ゴゴゴゴゴ…と言う地響きが背後から聞こえてきそうな位のオーラを放ち、玄冬は冷たい視線で見下した。
「貴様…今夜使う筈だった肉をどこへやった?」
「肉ぅ〜?ノン!私は知らないぞ!?」
「ほう…シラを切るつもりか…。厨房に用意しておいた肉が綺麗に一欠けらもなく消え去った。 そして…野菜には手付かずだった…それが何よりの証拠!」
もはや玄冬を止める事など出来はしない。
「野菜も食えとあれ程…」
「そういう問題ではないだろう!!!!!!!!」
酸欠状態から復活した銀朱の鋭い突っ込みが入る。
その時、執務室の扉がカチャリと音を立てて開いた。
「おい、大きい俺。聞き込みに行ってきたぞ」
「僕とちっこいのも聞いてきたよ、玄冬」
「ご苦労だったな」
入ってきたのは、こくろと花白、そしてこはな。
「俺は文官や城の兵達に話を聞いてきたが…誰も肉の行方を知らなかった。怪しい奴も見なかったそうだ」
「そうか…」
こくろの報告を聞き終えると、今度は花白の方へ視線を送る。
「僕は白梟に聞いてきた。やっぱり怪しい人は見なかったし、肉の行方も知らないってさ。 でも肉の事だからバカトリが怪しいんじゃないかって。」
「当然だろうな」
「ノン!」
白梟の意見に同調する玄冬に抗議してみるものの、スルーされる。
「僕は大きい僕に聞いてきた!肉の行方は知らないけど、黒い人影は見たって」
「ほほう…」
ジロリと冷たい目で黒鷹を睨む。
「ノン!私じゃない!!信じてくれ!!!」
涙で訴える。が、誰もが疑いの目で見ているのは明白。
「バカトリ。素直に吐けよ。正直に謝れば玄冬も許してくれるって」
「ちびっ子は玄冬の味方だもんなぁ…シクシクシクシク」
「タカ、本気で泣いちゃったよ?」
「放っておけ。いつもいつも甘やかすとロクな事にならん。…さあ隊長、あんたはどう見る?」
「俺に振るな!…だが、黒の鳥以外に当て嵌まる人物も居まい」
「有罪確定だな」
こくろの一言が黒鷹の心臓に突き刺さる。
「ゆーざい。ゆーざい!」
意味も解らず繰り返すこはなの言葉もナイフの様に突き刺さる。
「さて…どのような刑に処するか…」
玄冬が黒鷹に手をかける。必死で逃げようとするが転移装置も取り上げられている。

その時、執務室の扉が開く。
黒い服の長身の男が立っていた。
「初代の…玄冬…」
「肉は俺が食った。旨かった。例を言う」
それだけ言うとパタリと扉を閉めて去っていった。


「だから私は最初から無実だと言ったんだーっ!!!!!!!」


黒鷹の叫びが城内を駆け巡った。




K家妹
妄想日時:’08.3.8
妄想場所:自宅厨房

夕飯の支度をしていると耳に入ってくる「それでも私はやってない」の言葉。
冤罪事件を映画化したやつですね。
それで思いつきのままに書き始めました。
オチまで出来て良かったです(笑)