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花帰葬 初代救世主×初代玄冬 |
| 09.6.14 |
| Fairy of Flower |
さて、ここで問題だ 俺はこれからどうすればいいんだろうか 目の前には肩を震わせて泣いている男がいる 俺はそいつを憎むべきだろうか、恨むべきだろうか 結局俺は何が正解かわからないまま、その肩を抱きしめた その男との邂逅は、たった一度だけだ だが、その時俺は「あぁ、こいつになら殺されてもいい」と思った 思えばその時から、俺はこいつに惹かれていたのだろう だから、試した こいつが俺と同じ想いを抱いているのかを そして………彼は見事に俺と同じ答えを示した だから死の間際はそう悪いものでは無かった むしろ、安息の中暗闇に落ちたと言ってもいい そして、目を開いたら そこにこいつがいた――― あちらもこちらに気付いたようだった 紅い瞳を大きく見開いて、こちらを凝視している それはまるで瞬きをした瞬間に自分が消えるのを恐れているかのように 「これは…どういうことだ」 恐らく彼も答えを持たないであろう…それを理解しつつも、俺は他に掛けるべき言葉を持たなかった ただ、それだけなのに、彼はまるで呪縛から解けたように身を震わせた 「………あ…」 躊躇いがちに口を開けば、ただそれだけの事に再び硬直してしまう 俺だって戸惑っている…だが、目の前でこうも恐慌状態に陥っている者を見れば、逆に冷静になると いうものだ 目の前の彼は、怯える子供のように震えている…かつて見た彼とは、とても同一人物と思えないほどに 「お前も、何も知らないのか」 傍に歩み寄り、そっと肩を掴む ビクリと、その肩が反応する そして彼は、ゆっくりと自分を見上げた 「……………あんた…」 あの時に見た凛とした眼差しとは正反対の怯えた瞳 上手く言葉を紡げないのか、戦慄く唇がたどたどしく声を発する 「あんた………本物…?」 「少なくとも俺自身は俺だと自覚している」 そう、確かにあの時、俺は死んだ筈だった この男の手で 心臓が最後の鼓動を打つ瞬間まで覚えている なのに、何故か自分はこうしている 何が何だかわからないのは自分とて同じだ だが、こうして物思う自分は確かに自分で 「………上手く言えんな。自分でも良くわからん」 幾ら考えても理解できない事態に、頭痛をもよおして眉根を寄せれば、そっと彼が手を伸ばしてくる 思わず首を絞められるのか…と身を固くしたのは当然だ こいつは俺を殺す義務がある けれども彼の手は、そっと俺の頬に触れた まるで壊れ物を扱うように、そっと… 「温かい…な」 「そう…か」 俺はただ彼の為すがままになっていた 一度は条件反射で身構えたものの、もう一度こいつに斃されるのも悪くはない、と思っていたから このときの俺は、それがどれほど残酷な事かも判らず――― 彼は何度か確めるように頬を撫で、それから突然に俺にしがみついて泣き出した 「ああ、くそッ!みっともねぇな」 漸く泣き止んだ彼は、そう毒づいて鼻を啜り上げた 「落ち着いたか」 服の裾でグイグイ顔を拭くそいつに、俺はついつい溜息を漏らしてハンカチを渡す 彼は照れくさそうに笑い、礼を言ってハンカチを受け取った 「せっかくの感動のご対面なんだからさ、もっとこう、かっこよくやりたかったんだけど」 イキナリ泣くなんてねぇよなぁ…と彼は茶化すように言った 「まぁそう言うな。まさかこんな事があるとは思わなかったからな」 「………俺はね、ずっと考えてたよ。こうやって、もう一度あんたと出逢って、それで………まぁ 現実逃避の妄想みたいなもんだったけどな」 泣き止んでから彼は、ただじっと俺を見る まだ、これが夢か幻ではないかと疑うように だとしたら何と都合のいい夢だろう 今、俺達は「玄冬」と「救世主」などではない、ただの人としてただ同じ時間を共有している そんな夢を、俺だけじゃない…お互いが夢見ていたというのだから 「あんたはさっさと一人で逝っちまったけどさ、俺にはその後も長い時間があったから………」 ぽつり、と彼が呟く 俺は、その言葉に返す言葉が見つけることが出来ず、ただ、その頭に自分の手を乗せ、ゆっくりと 撫でることしか出来なかった 謝ることはできない―――それはお互いわかっている だから、せめて自分がここにいる事をこいつが信じるまで、触れていることしか出来ない しばらくは大人しく頭を預けていたが、やがて彼は拗ねたようにこちらを見上げてきた 「なんだよ、子ども扱いすんなよ」 俺、もういい歳なんだぜーと頬を膨らませる彼が愛おしく感じる それが顔に出たのか、やはり拗ねたような眼で笑うなよと睨まれる それでも彼は俺の腕を振り解くことはしなかった 「あーもー」 まだ赤い…いや紅いのは元からか、瞳を細めて彼は俺に向き直る そして、唐突に口付けてきた 初めはただ合わせていただけの口付けが、酸素を求めて唇を解けば、しめたとばかりに舌が侵入して より口付けを深くする 幾ら不意打ちとはいえ、男同士の口付けに、全く抵抗感のない自分に、妙に凪いだ心で理解する しばらく濡れた音を立てて合わせていた唇が、名残惜しくも離れていった 酸素不足と動悸で自然と息のあがった俺を見て、彼は紅い舌を出して笑う 「言っとくけど、年齢的にはあんたより年食ってんだからな。こー見えても長生きしたし、 経験値が違うんだよ。妻子持ち舐めんな」 その顔が嬉しそうで、何故か自分も笑みを浮かべていた それが答え 「心得ておこう」 「わかればいいんだよ………さて、と」 青く澄んだ空に体を伸ばして、ストンと力を抜いたこいつは、そう言って俺を見た 「これからどうしよっか」 「そうだな………」 まずは今、俺達が立っているのが、あの時望んだ世界なのか確めに行こう それはこいつも同じ考えだったようで、目的どころか金銭すら持っていない俺達は、とりあえず ここから一番近い城下町へ行くことにした この場所はこいつにも覚えがあるらしい、その彼の言によると、そう遠くないところに城下町がある らしい 一国の首都となれば情報も集るし、何らかの仕事を得ることも出来るだろう これ以上の良案はなかった だが、その国の名を聞いたときには流石に唖然としてしまったが… 「お前…」 「いい名だろう」 俺がつけたんだぜ、と自慢げに胸を張るこいつに、思わず頭を抱えた 「何を…考えていたんだ…よりにもよって………」 「あの時、何でも好きなものをくれるって言っただろう」 と、してやったりと笑う それから、ふと、何かに気付いたように、俺を見た 「そういや、俺はアンタの事知ってるけど、アンタ、俺の名前知ってる?」 そういえば…俺はコイツを「レジスタンスの英雄」としか知らない 戦場で見かけたことはある だが、その時もああ、こいつがそうか、と思っただけで……… 「そういえば、聞いていないな」 「そーだよなぁー」 そう、あの時全て通じ合ったような気がしていたが、良く考えれば俺達はお互いの事を知らなすぎる 「なぁ、俺達ってさ、まず最初にやらなきゃいけない事、あるんじゃないか?」 そう…俺達は出会いをやり直さなければならない 「そう…だな」 頷く俺に笑うその顔が、非常に穏やかで――― 俺達の間を風が通り抜ける 鮮やかな緑の草木が、煽られてざぁぁぁと音を立てる その音にかき消されない、凛とした声が始まりを告げた 「俺の名前は……… |
K家妹 妄想日時:’08.10.9 妄想場所: 最初はこんな話じゃなかったんですけどね…(トオイメ)。 せっかくだから、いつか書く、K家的「何故PD世界に初代ズがいるのか」の回答編に 繋げようと、急遽方向転換しました …ら長くなったorz 相変わらず思い通りに書けません…妄想どおりに書ければいいのになぁ… あ、ウチの設定は初玄26歳、初救24歳(記憶は享年までのセーブデータ継承)ですのでヨロシク(笑) |