花帰葬
初代救世主×初代玄冬         
09.10.12       
 千の夜とひとつの朝

いい女だった………と彼はポツリと言った。
「あいつは、俺の虚(あな)を埋めようとしてくれた。俺は幸せだったし、多分誰が見ても幸せに見えたと思う」
人が求めるものは全て手に入れた。
地位も名声も権力も金も幸せな家庭も………最期は子を残し、血脈が続くのを見届けて、安らかに永久の眠りについた。
でも彼はずっと飢えたままだった、欠けたままだった、彼の妻が必死に埋めようとしてくれた虚は埋まることなど無かった。
「でも、アンタがいなかった」
むしろ最期の時に近付くほどに、その欲求は強くなっていった。
一生のうちに手に入れた全てと引き換えにしてもいいほどに、求めていた。
優しい人たちを、ようやく築き上げた平和を、犠牲にすることすら厭わないほどに。
「思い出は………美化されるものだろう」
そもそも、と言葉を続ける。
「お前は俺の事をほとんど知らなかったはずだ」
「そーでもないぜ。評判は知ってたし、アンタの部下達と話したこともある」
「なら、さぞ残念だっただろう。本当の俺を見て」
は?と彼は意表をつかれたという様に間抜けな顔をした。
まじまじと、そう言った相手の顔を見返す。
「お前の想像していた俺と実際の俺は随分と違っただろう」
「ああ…」
彼は笑みを浮かべた。
甘えるように擦り寄ると、汗の引いた肌の感触が気持ちいい。
「確かに違ったな。俺の想像は失礼なくらいだ」
だってさ、と額を合わせて至近距離で瞳を覗き込む。
高みで遠くまで見通すその藍色の瞳。
時に哀色に、時に愛色に変わるその瞳は、表情よりも雄弁に感情を表す。
身長差の所為で、こうして一緒に眠っている時くらいしか同じ目線で見ることができないのが悔しくもあったりするのだが。
仕方ないと思う。
勝つことが得意な自分には珍しいけど、コイツには最初から負けっぱなしだ。
しかも負けても気持ちいいなんて、自分はどれだけマゾヒストなんだろうと苦笑いすら出る。
暫らくその瞳を堪能して、それから耳元に唇を寄せる。
「やっと出逢えたアンタは、俺の想像を遥かに超えるくらいスゴイ奴だった」

強くて綺麗で優しいアンタ。
この時代でもう一度巡りあえた事よりも、アンタが俺のものになってくれた事が奇跡のように思う。
愛おしさを両腕に代えて抱きしめれば、受け入れるように抱きしめ返してくれる。
その温もりを、生きている重みを確めながら、彼はまどろんでいった。




K家妹
妄想日時:’08.11.23
妄想場所:

前提→ウチの設定は初玄26歳、初救24歳(記憶は享年までのセーブデータ継承)です。

ふぃーまた今回もゲロ甘ですねぇ。
たまにはイチャイチャしない初救初玄を書いてみたいものですが、中々彼らが許してくれません(笑)。
まぁ本編があれな分だけ、せめてK家では幸せにしたいですね。
タイトルは斎賀さんの歌から、K家における初救初玄のテーマソングです♪