花帰葬
玄冬×銀朱         
08.12.13       
 おまけのスペシャルエディション EP2

「舐めてくれ」
「………はぁ?」

天気の良い午後の執務室。
相変わらず銀朱の執務室に居座っている玄冬が突然真顔でそう言った。
前後の脈絡もない突然の一言に銀朱は金縛りにあう。

「聞こえなかったか?」
「な…何がだ?」
「舐めてくれと…」
「あーーーっ!!!!!」
「どうした?」
「どうした?じゃない!そういう事を言うなと…」
「何だ、聞こえていたんじゃないか」
「…貴様……」
風邪を引いた訳でもないが、突然疲労感が体全体を支配し、頭痛と目眩で銀朱は頭を抱えて それ以上言うのをやめた。
「あんたが舐めてくれないのなら俺が…」
「えっ!?………っ」
玄冬の言葉に驚き顔を上げると、先程まで目の前に居た姿がなく、代わりに背後から熱い何かが首筋に触れた。
「や…やめ…っ」
「そんな声で言われてもな…」
玄冬の唇が、舌が耳元に触れ、首筋に触れる度に全身の力が抜ける。
しかし、今は執務中。ここは城内で執務室。何時、誰が来るかも知れず玄冬の思い通りに流される訳にはいかない。
銀朱は心の中で「流されるな、しっかりしろ」と三度呟いてから振り向き一喝した。
「いい加減にしろ!執務中はこういう行為はしない約束をした筈だ!」
「………」
「第一、何故貴様はいきなり舐めろなどと言い出すんだ…っ!」
言うだけ言ってスッキリはしたが、少し強く言い過ぎただろうか…と心配になる。
「俺は…」
「何だ!?」
「俺はただ…」
玄冬は静かに語り出す。
「俺はこの前も話した通り、愛情表現をだな…」
「…あ…愛情表現?」
「動物達を見ろ。これは単純な愛情表現だ。あんたが言うような行為ではない」
「だ…だが…何故今なんだ?」
「あんたが…愛おしいと思ったからだ」
「…う」
「夢中に仕事をしているあんたが愛おしくてな。それに…」
「なんだ…?」
「一心に仕事をしているから少し…その…」
「ハッキリ言え」
「ヤキモチを妬いていた。その…書類にも仕事にも」
「お前な…」
「夢中に仕事している姿は魅力的だ。だがあんたときたら俺の方には見向きもせずに机に向かったままだ」
大の男が母親に叱られた子どものように拗ねてみせる。
悪意があってこのような行為をしている訳では無い事くらい銀朱も承知している。
そうさせた原因の一端に自分があり、愛情表現と言われれば責める気持ちも薄れてくる。
「貴様は何故愛情表現の仕方を動物に倣うのだ」
「俺は…それしか知らないから」
正直、銀朱は彼が「玄冬」だったことを忘れていた。
「玄冬」であるから人里離れた山奥で黒の鳥と2人で暮らしていたのだから、世間の常識に疎い所があっても仕方がない。
そうさせたのは自分達。
「玄冬」であったことなど関係ないと思える程、銀朱は玄冬と過ごしてきた。
世間の常識がわからないのなら教えてやるのが自分に出来る事なのならそれをするしかない。
「馬鹿者が…」
「………」
「貴様には立派な口があるだろう!…愛情は…言葉で伝えればいい。そうしたらちゃんと…返してやるから」
言いながら「恥ずかしい」と思って顔が熱くなる。
「そうか。…ならば」
銀朱の一瞬の隙をついて玄冬が耳元に口を寄せて囁いた。

「好きだ。あんたを…愛している」

「………」
一瞬で顔が赤くなるのがわかる。
耳元で囁かれて力が抜けた。
言葉を失い時が止まる程の衝撃が銀朱を包む。
再び銀朱の時が動き出すまでには暫く時間がかかった。




K家妹
妄想日時:’08.11.24
妄想場所:自室

天然な分だけタチが悪いし、破壊力抜群(笑)
いや、ある意味隊長、自業自得ですがね(笑)
玄冬…キミは立派な破壊者だよ(笑)


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