花帰葬
玄冬×銀朱         
08.1.18       
 或るG氏の動揺

執務室の窓から外に咲く桜を眺めていた。

「春…か」

そう呟いて銀朱はしみじみと噛み締める。
春がきた…即ち、救世主死すとも滅びは止まったという確たる証拠。

「………」

この数日、銀朱はずっとこんな感じで、桜を見ては何かを考えて沈黙する。
復興に向けて城内は忙しく動き回っていた。
そんな中、銀朱が考え込む理由…それは、玄冬に言われた「何故あんたは甘んじてその行為を受ける」と言う言葉。
それ以来、何故あんな行為を受けてしまったのか考えているのだ。

コンコンと二回、執務室の扉を叩く音がした。

「入れ」
「茶を煎れてきた」
「そうか」

この状況にも慣れてきた。頑張り過ぎる銀朱の為に、玄冬は毎日決まった時間にお茶を持ってくる。

「おい、貴様。この城も大分落ち着いてきた。いつまでここにいるつもりだ?」
「俺が帰るとき…あんたも来るか?」
「だっ…誰が貴様なんかと行くか!!!!!馬鹿者っ!!!!」
「そうか…」

もしや自分の家に帰り辛いのでは?と銀朱なりに気を利かせたつもりだった。
真面目な顔で淡々と喋る玄冬の真意を、銀朱は掴めないでいた。
それでも最近気付いた気持ちがあった。

「貴様が…」
「ん?」
「貴様が『玄冬』ではなくなって良かったと…思う」
「………」
「そして…自分が救世主じゃなかった事も、今では感謝しているくらいだ」

何を言っているんだ、自分は。と思ったが、口に出してしまった以上、もう止められなかった。
口にしなければ、あの謎の答えが見えない様な気がした。

「貴様を殺せなかった花白の気持ちが…今は解る」
「…あ」
「俺は…」

俺は…その続きが喉元まで出掛けて詰まってしまった。

(俺は…今何と言おうとした…?)

一つの単語が銀朱の脳内に浮かんできて、銀朱は止まってしまった。

(俺はコイツに…惹かれている…?そんな…馬鹿な!!!!!ある筈がない!!!!)
思い切り否定するものの…

「どうした?」
「な…なんでもない!!!!」
本人を目の前にして焦る気持ちを抑えることは出来なかった。
気苦労の多い銀朱にまた一つ、悩みの種が増えたのだった。





K家妹
妄想日時:’08.1.12
妄想場所:自室

隊長出演作品、1作品につき1馬鹿者を外せないK家妹です。
取って付けたような無理のある話の展開かもしれませんが、
「或るG氏シリーズ」を完結するために大事な1作品かと思います(遠い目)
あと何回で最終回になるんだろう(汗)


或るG氏の寝室 或るG氏の衝撃